住職のお言葉

平成二十三年十月の言葉

何かについて言うとき「いいえる」という表現がある。
これは仏道修行の悟り、自分の境地を言葉で表現することに由来しています。
漢字で道得と書き「どうとく」とは読まず「いいえる」というのです。
同じ意味で道取は「いいとる」と読みます。
したがって「いいえる」は自分の意思が定まった確かなことをいうのだから、
引用は出どころを明らかにしなければなりません。
私の宗門、曹洞宗はこのことを重視しておりますので、言葉によって
仏道修行の深浅や境地を量り禅問答や挨拶等を通じ切磋琢磨し合うのです。
最近ドジョウと金魚の話が流行しておりますが、野田総理が民主党代表選の際に
使った「ことば」です。
しかし、野田総理自身のことばではありません。有名な相田みつお先生が
書いた句集の引用だそうです。
彼が使ったばかりに近頃は「どじょう」まで可哀相になりつつあります。
相田みつお先生は一見すると下手くそな字で浮世離れしたことばを並べて人を
誑かしている印象でしたがそうではありません。
書道を学び仏道を学び、自分の表現 自分のことばを得ている方なのです。
曹洞宗の禅僧である武井哲応老師に師事し、長年にわたり参禅修行され
在家のまま仏道修行を極めた方であります。
相田みつお先生は多くの標語や句集をだされておりますが
そこにいつも輝いているのが「じぶん」であります。
読む人に手に取る人に、標語を通じて「自分のことば・自分の人生・自分の命」
に気づけ、磨け、励めと迫っているのです。
私は元来すごく素直な性格で、自分が「そうだな」と思えない事に抵抗します。
総意だとか、多数決で決まった、伝統がこうだ、前例だとか、誰かがこう言った
などと聞くと「だからお前はどうなんだ」と言いたくなるのです。
特に反発を感じるのは「お釈迦様はこう言った」とかいわれると
「何処で会ったの」と聞きたくなる。
自分の話をしてそしてお釈迦様の説もこうでしたと言うなら分かります。
ピストルの玉だって火薬で貫通するんで、文字も言葉も知識も玉だとしたら
自分が火薬となって人の魂を貫く「ことば」が得られるのです。
玉ぶらさげても自分自身がその気にならなきゃ役にゃ立たぬノダ。
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